
ルビフル大賞2025 受賞作品発表!
コラム
2025/06/02

ルビフル大賞とは
「ルビ(ふりがな)があるからこそ届いた一冊」を称える賞です。
前年度に刊行・販売された本の中から、以下の基準に基づいて選定します。
- 通常ルビが振られないような内容にもかかわらず、全編にルビが多めに振られてい
ること - 著者や編集者の強い意思が感じられること
- 読者からも高い評価を得ていること
賞の種類
グランプリ
審査員投票の上位作品をグランプリに選出します。
Newton 別冊 精神科医が語る 発達障害のすべて
- 出版社:ニュートンプレス
- 発売日:2024/7/9
<審査員コメント>
「専門性が強い書籍で総ルビであることに感動しました。子どもたちの興味の幅を広げ、将来の可能性を広げることにつながるのではないかと思いました。」
「こどもから大人まで、当事者も当事者以外も、知っておいた方が生きやすくなる専門知識を、あえて簡単な言葉に直さず、専門用語そのままにルビをふることであらゆる年齢層の人が読めるようにしていることが画期的だと感じました。」
「これは、新しい科学の本として、ストレートに私の興味を惹きました。そしてそれを、ルビが振ってあるから子供でも読めるようにしているのは、とても素晴らしいことだと思いました。」
サッカードリブル解剖図鑑
- 著者:三笘薫
- 出版社:エクスナレッジ
- 発売日:2025/2/5
<審査員コメント>
「ルビを振ることによって子供たちでも読めるように工夫がされていて、スポーツおよびスポーツ選手を目指す子供たちや次世代へのまなざしが感じられました。」
「これは一種の専門書とも云える。世界一流のドリブル技術についてであり、プロサッカー選手でも知りたいことを、分かりやすく、子供でも直接読めるようにルビを振っている。三苫選手、ここまでgivingでいいの?!とまで思ってしまいました。」
「世界の三笘選手の技術を丁寧に分解し、書籍化したこと、それにルビをふったことで小学生にも読めるようにしたところが素晴らしい。さっそくサッカー大好きな小学生にプレゼントしました。」
審査員特別賞
審査員からの評価をもとに審査員特別賞を選出します。
ロールモデルがいない君へ 6ヵ国育ちのナージャが聞くルーツが異なる12人の物語
- 著者:キリーロバ・ナージャ
- 出版社:KADOKAWA
- 発売日:2024/10/18
<審査員コメント>
「日本に暮らすマジョリティではなかなか気づきにくい視点・体験を共有してくれるとても基調なインタビュー集で勉強になりました。総ルビであることの意義が深く伝わる良書だと思います。」
「著者自身が6ヵ国育ちであり、ティーンエージャーの頃、漢字が苦手だったので総ルビにしたという。「日本語を開いていく」とはどういうことかを教えてくれる。」
「なぜこの本にルビをふったのかという理由が明示されており、著者の熱い想いを感じることができました。中学生くらいの子どもたちに手に取ってもらうことで、自分の暮らしを見つめ直す契機になるのではと思いました!」
ルビフル大賞
2024年に出版された本から、9作品を大賞として選出しました。
グランプリ作品・審査員特別賞はルビフル大賞受賞作品から選ばれます。
ルビフル大賞2025 大賞作品
天久鷹央の推理カルテ ジュニア版 カッパの秘密とナゾの池
- 著者:知念実希人
- 出版社:実業之日本社
- 発売日:2024/12/12
選出理由:
もともとは中学生・高校生以上向けのライトノベルとして人気だった天久鷹央シリーズを、ジュニア版として総ルビにして出版する取り組みです。新書やライトノベルとして売れて人気の本を、総ルビのジュニア版として出す取り組みがもっと増えると良いなとルビ財団として考えています。その好事例の一つとして選書しました。
大人も知らないみのまわりの謎大全
- 著者:ネルノダイスキ
- 出版社:ダイヤモンド社
- 発売日:2025/3/26
選出理由:
大人も知らないような街中で見かけるような身の周りのものについて解説した本。総ルビで絵も多く、親子で楽しみながら読むことができる本です。類書の中には、総ルビではないものもある中で、総ルビであることはあらためて重要だと思いました。明らかな子ども向けというレベルまで落とさずに、内容は大人が読んでも読み応えのある内容にしている点も評価して選書しました。
サッカードリブル解剖図鑑
- 著者:三笘薫
- 出版社:エクスナレッジ
- 発売日:2025/2/5
選出理由:
子どもから大人までサッカーがうまくなりたい人のためのドリブルの解説書です。サッカーのようなスポーツは実際にやってみるか映像などで学ぶのが普通だと思いますが、この本は図解と三笘選手の言語化による説明によって本でサッカーがうまくなることを目指しています。総ルビなので本当にサッカー好きの小学生1年生でも読めます。読書は嫌いだけどサッカーは好きな子がいたら、この本のおかげで本を読むようになったりする可能性も感じることができる一冊だなと思い選書しました。
Newton 別冊 精神科医が語る 発達障害のすべて
- 出版社:ニュートンプレス
- 発売日:2024/7/9
選出理由:
Newton 別冊シリーズが総ルビになったのは2023年10月以降です。まだあまり知られていません。子ども向けではなく、子どもでも挑戦できるように、内容は大人向けのままで難しいのですが、総ルビになっています。子どもに限らず、日本語学習中の外国ルーツの方々も含め多くの人に開かれた日本語の科学書としてもっと多くの人に手に取ってもらえたらと思います。
今回ピックアップしたのは2024年7月発刊の「精神科医が語る発達障害のすべて」です。子どもから大人まで広くちゃんと理解しておきたいテーマだと思い選書しました。
世界のしくみが楽しくわかる 13歳からの世界地図
- 著者:井田仁康
- 出版社:幻冬舎
- 発売日:2024/9/27
選出理由:
「13歳からの〇〇」や「14歳からの〇〇」といったタイトルの本はわりとたくさんあるのですが、その中の多くが、ルビがあまりふられていません。もちろん小学校で習う漢字にはルビはふらずに中学以降で習う漢字にはルビはふっているケースも多いかもしれません。でも、それだと漢字が苦手な人や小学生が背伸びして読もうとする際に苦労します。この本は、「13歳から」とうたいながらも総ルビなのが素敵です。世界地理を習うのは中学生以降ではありますが、小学生でも世界の国々に興味をもったら読めるように総ルビであることはありがたいと思い選書しました。
タコのなぞ 「海の賢者」のひみつ88
- 著者:池田 譲
- 出版社:講談社
- 発売日:2024/8/29
選出理由:
この本に出会って自分はタコについて何も知らなかったと気づかされました。考えてみれば、タコについて専門的に学ぶ機会はありません。小学生でも読めるようにルビが多めに書かれたこの本のおかげで、多くの大人にとってもちゃんと知る機会がなかったタコについての知識をスムーズに学ぶことができます。本という物理的なメディアだからこそ、実用性や必要性と離れたところで、ただ目の前に存在することで純粋に読者の知識欲を駆り立てられる。そんな好例の一つとして選書しました。
放課後ミステリクラブ 4 密室のウサギ小屋事件
- 著者:知念実希人
- 出版社:ライツ社
- 発売日:2024/6/21
選出理由:
児童書として初めて本屋大賞に選出されたことで話題のシリーズ。主人公は小学4年生の設定で、対象も小学校中学年以上(小3以上)となっているので、類書では、低学年で習う漢字にはルビをふらないことが多いのですが、このシリーズは総ルビなのです。
内容も大人も楽しめるミステリー要素もあり読み応えがありますし、著者が子どもたちに伝えたいメッセージも感じることができる良書です。
隣の国の人々と出会う: 韓国語と日本語のあいだ (シリーズ「あいだで考える」)
- 著者:斎藤 真理子
- 出版社:創元社
- 発売日:2024/8/27
選出理由:
創元社の「あいだで考えるシリーズ」の一冊です。このシリーズは、10代以上すべての人に向けた人文書という位置づけであり、内容やテーマは骨太で大人向けではあるものの、ルビも多めにふられています。10歳の小学生も10代として大人扱いして正解のない問いを考える方へ誘おうとする出版社の想いが感じられます。今回ピックアップしたのは、韓国語と日本語のあいだをテーマにした本で、韓流好きの若い人が読書するきっかけになればと思い選書しました。
ロールモデルがいない君へ 6ヵ国育ちのナージャが聞くルーツが異なる12人の物語
- 著者:キリーロバ・ナージャ
- 出版社:KADOKAWA
- 発売日:2024/10/18
選出理由:
外国ルーツで日本に暮らす人たち12人を取材した本です。著者であるナージャさんご自身も 6ヵ国育ちというバックグラウンドで日本で暮らしています。多様性や多文化共生について理解するには、教科書で学ぶよりも、ひとり一人の人生の物語を聞くことが大事なのではないでしょうか。内容は子ども向けではありませんが、昔日本語に苦労された著者の感覚で、なんとなく総ルビの方が助かる人が多いのではという配慮から総ルビで刊行されています。マイノリティの立場を少しでも知ることと、ルビをふることの意義を両方同時に感じることができる素晴らしい本だと思い選書しました。
ルビフル大賞2025 審査員
第1回審査員(敬称略)
- 伊藤 穰一(千葉工業大学 学長)
- 佐久間 貴子(公益財団法人ベネッセこども基金 理事)
- 白井 智子(株式会社こども政策シンクタンク代表取締役)
- 大作 光子(軽井沢風越学園 司書)
- 藤井 輝夫(東京大学 総長)
- 宮崎 哲弥(評論家)
- 松本 大(一般財団法人ルビ財団 ファウンダー)
- 伊藤 豊(一般財団法人ルビ財団 代表理事)
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